2022/03/10 08:06

こんにちは。
【石のシンシア】制作担当のメイソンです。
私の家系は、先祖代々石工の家系でして、
おじいちゃんも、ひいじいちゃんも石工です。
もちろん、時代によって
様々な加工工程や加工器具の変化があって、
私の作業の中身も昔とは変わってきました。

今から35年ほど前、私が父に仕事を教えてもらった頃は、
切削機械が小さかったので、
その機械でも切ることのできる大きさにまで
削岩機で穴を開けて割る作業をしていました。
今でも上画像のように、石の採掘場で行われている作業です。

その時に『石の目』なんてものも教えてもらいましたし、
割り方が悪いと、石の目に沿って割れないことなどを学びました。
大きな石にバケツで水をかけて、模様をハッキリさせて、
割肌を撫でてみて、どの方向にどんな風に割ると良いのか?
失敗すると大損害なので、真剣でした(笑

段々と大きな切削機械で切るようになって、
別の加工工程の仕事をするようになりました。

今でも、上画像を見ると懐かしく思い出しますが・・・

発破作業中の事故は怖いものですし、
車がスタックするとか、石の重さで壊れるとか、
保険には入れないだとか、
かなり大変な作業だったので、
現在、山で石を切り出す作業をしている方々には
大変ご苦労様だと思ってます。



そして、山から切り出してきた石を
下画像のような切削機で成形します。

切削機に付いている歯は人工ダイヤなので、
数十万円から百万円のものまであります。
そんな高価な歯でも、あっという間に減ってしまいます。
御影石は硬いですから。
工具メーカーなどでは、
「御影石は最も手強い加工対象」なんていってるところもあります。
で、そんな硬いものを切る訳ですから、負荷のせいか、
切ってる時の音が凄まじいんです。
ですから、大抵の職人さんは難聴気味です。

あと、冷却と潤滑のために水を大量に使います。
これがまた跳ねるんです。
冬の朝なんて、氷柱ができた機械で仕事をするんですが、
猛烈に寒い!凍えて手が動きません。
まぁ、夏は涼しいんですけどね。



水を大量に使うといえば、
切削の次の作業、研磨です。
石の仕上げはビシャン仕上げ、タタキ仕上げ、バーナー仕上げ等
色々ありますが、本研磨が一番ポピュラーですね。
下画像のような研磨機で磨くのですが、

自動研磨機は勝手に動いているので問題ないのですが、
画像のような半自動のものは、
水が身体に飛んできて冬が辛い・・・
石に触れている砥石の部分は
結構な高速で回転しているので、
水が飛び散るんです。
もちろん防寒はしているんですが、
真冬は全然間に合いません。
まぁ、これも夏は涼しくっていいんですけどね。



石材加工の工程は大まかにこんな感じで、
ここまでで半製品になります。

この後はサンドブラストで文字を彫刻したり、
最近ではレーザー彫刻機で画像彫刻をしたりします。

画像はレーザー彫刻機の内部で、
置いてあるのは黒大理石の石板です。
彫刻してあるのは近所のイケメンワンちゃんで、
飼い主さんから許可を頂いてモデルになってもらいました。

レーザー彫刻とは、レーザーの熱で石を溶かしたり
弾いたりして彫り込み、石の黒い部分を白くすることで
画像を表現します。
そうすると、画像のワンちゃんみたいに
まるで白黒写真のようになります。

そう言ってしまうと、機械的に誰にでもできそうですが、
実は、レーザー彫刻ってオペレーター次第で
全然違うものが出来上がります。
有体に言うと腕次第。
特に、ワンちゃんネコちゃんの毛を
表現するのが難しい。
トラとかブチとかの柄は難易度低めなんですが、
上画像のような毛の表現ができそうでできない。
どのくらい難しいかっていうと、
私がレーザー彫刻機のメーカーを訪ねた際、
メーカーの方が、私の犬の彫刻を見て、
「この犬の毛、どうやって彫刻したんですか?」
と、目を丸くして驚いていました。
そのくらい大変なんです。
素材がアクリルだったら割と簡単なんですが、
石は大変なんです。
レーザーで照射した部分が溶けるだけではなく、
弾けてしまうので、鮮明さが出にくいんです。
弾けないようにするには、設定の微調整が必要です。

画像編集、石質の見極め、レーザー彫刻機調整、この3つを
ギリギリまで追い込んで調整しなければ、
上記画像のようには彫刻できません。
正直にいえば、精密にやり過ぎてしまい、
採算度外視状態です。
でも、お客様に喜んでいただけると、
寝ないで頑張ってよかった・・・
と思うのです。


石のシンシア制作担当
メイソン